セミが五月蝿いぐらい鳴いている夏の半ば。
庭先に水を撒いて、温度を下げよう―と思った俺はバカだ。
「道生さんの家って・・・風通り抜けないんですか?」
竜宮島の一角を充分に望める事が出来る、高台に立った一戸建ての家。
今日はこの家で・・・パイロットたちの親睦会を行っていた。
「今に始まった事じゃないさ。―もっとも、俺の子供ん頃も、とは言えないが」
やっぱり―フェストゥムが来る事によって、環境も変化して行くものなのかな。
あるいは磁気(ヴェル)シールドが風を通さないとか・・・はて。
なんか俺、最近総士みたいに考える事、多いぞ?
"ファフナーに乗る事によって体内の因子が変化して染色体がどーのこーの"の先には、
俺と総士が一心同体になるって事なのか!?
総士の心を知りたいのは当たり前だ。ずっと一緒に居たいよ?
―ん?ちょっと待った。それじゃあ―
「・・・総士」
「なんだ?一騎」
何処か思い切った気持ちで、俺は隣に座っている総士に声を掛けた。
さっきから一人で考え込んだり、驚いたり―表情に出ていたらしい。
百面相をしていた俺に「頭は大丈夫か?」と問おうとした所だったみたいだ。
・・・少し笑いながら、総士は俺に答えた。
「ジークフリード・システムって・・・パイロットの身体の変化も調べられるんだよな?」
「今更何を言っている?フェストゥムとの戦闘において、パイロットの健康状態は微々たる変化も見逃してはならない。
それに、もし戦闘中に同化現象を起こしてしまった場合、どうなる?
先日のように、パイロットが操られるよりも苦しいんだぞ?どれほど辛いか・・・」
長々とジークフリード・システムと俺達パイロットの関係について語った総士が一呼吸する合間に、
すかさず俺が「でも!」と割り込む。
その瞬間総士が驚いて、ぽかんと口を口を開けた。
「俺の身体が変わった事―お前は・・・知らないだろ?」
夏木立 −夏色に茂る木々の葉影−
「変わったって・・・それはどう言う意味だ?」
―遠見に言われた、あの一言。
『システムと繋がって相手の気持ちを知ったからって・・・相手を理解したなんて、言わないで!!』
あの時、その事を指摘されて・・・僕は思わず
『君よりは・・・知っているさ』
なんて言ってしまった。本当に愚かで情けない―言い訳だ。
本当に分かっていなかった。相手の気持ちなど。
でも―今は。
目の前に居る・・・大切な人、守るべき者と気持ちは繋がり通じ合っていると・・・思っていたのに。
やはり―思うだけでは、駄目なのか?
「どう変わったんだ・・・一騎!」
思わず焦ってしまう。
目の前に居る彼が、急に消えたりはしないだろうかと・・・思ってしまって。
「総士・・・?」
僕には・・・どうして良いか、分からない。
目の前に居る一騎は―いつもと同じ、一騎だから。
「一騎・・・」
お前の事を考えるだけで、胸が痛む。
自分を犠牲にして本当は戦闘に出たい自分が―ジークフリード・システムの搭乗者になって、パイロットを見送って。
・・・大切なお前をパイロットとして見送るなど、僕に出来ると思うか?
島の安全か、お前の命か。
どっちを選ぶと問われたら、僕は―
「総士、お前も本当は・・・悩んでいるんじゃないか?」
心配そうな表情をして、不安げに一騎。
此処が僕の部屋だったら・・・こんな一騎に手を出さずには居られない。
「ごめんな・・・俺・・・本当は、お前の事―分かっていなきゃ、駄目なのに」
ジークフリード・システムの搭乗者の試練。
それは―相手に自分の感情を打ち明かす事。
気持ちは・・・感情に過ぎないから。
「一、騎?」
好き、嫌い。嬉しい、悲しい・・・痛い、辛い。
どんな感情も捨て、相手に対する私情を捨てる事。
「お前も、僕も・・・一人の人間だ。悩み事ぐらい一つや二つ・・・有るさ」
笑いながら、そう言った。
妙に真剣な総士をそっちのけで、俺は一人で感心していた。
―総士にも、同じような悩みが有るのか、と。
この前までは気にしなかった、俺に対する・・・総士の気持ちって。
俺が島を出る前にまで向けていた―総士の冷めた視線。
あの時の俺たちは、本当に擦れ違っていたから。
けど、最近は―先輩達・・・特に僚先輩に向けていた視線と同じだ。
「でも、俺・・・こう言う勘は、よく当たるんだぞ?」
―好意を持つ男性に、女性が向けているような・・・少し甘い視線。
人望が厚い彼の事だから、きっと皆に向けているんだろう。
「・・・もう!言う気が無いなら、俺が先に言う!お前も後で言うんだぞ!!」
不器用だからさ・・・総士って。
昔の俺みたいに、他人に踏み入られないように・・・壁を造ってさ。
本当の自分を、表に出せないんだよな。カノンみたいに。
でもカノンと比べたら、カノンが可哀相だ。
・・・目の前に居る堅物総士の気持ちを知るには、俺自身の気持ちを有りのままに話して―壁を壊せばいい。
そうやって、新たな絆を築くんだ。
―幼い頃の、俺達のように。
「俺の悩みは―最近、腹筋が割れない事!!」
まぁたかわいーこといっちゃってぇ。
「・・・は!?」
自分の悩みとはまったく反対の、否・・・全く別の悩み事に僕の思考は一時トリップし・・・慌てて現実に引き戻した。
僕は・・・僕はそんな事に悩んでしまったのか!?
「お前・・・初回とか二回目の"腹筋フェチ"疑惑の続きか・・・?」
実質―あれは僕が一騎に触れたいが為に起こした事だ。
あの日から島中の人々からの視線が痛くなったのは、言うまでも無い。
「毎日筋トレしてるのに、全然割れないんだもん」
ムニ、と服の上から脇腹を引っ張る一騎が可愛い。
・・・と言うか、お前に引っ張る脂肪は付いているのかと問いたいよ。
女子が憧れる体格bPの真壁一騎くん。
「システムの情報・・・そして週一の定期検査で―お前の体内の女性ホルモンの分泌が異常である事が確認された」
―んなワケあるかよ。
自分でもそんな事を思って言っているのに、一騎はどうやら本当の事だと信じたらしい。
「えっ・・・それ本当!?だから、俺・・・脂肪が沢山でプニプニしてるんだ!!」
太腿辺りをムニムニと触る一騎。ああ、なんかもう。
と言うか、むしろ・・・そっちの方が僕的には嬉しいんだけど。
「じゃっじゃあっ・・・俺の胸も・・・こう・・・」
こーんな感じでなるのかなぁ?
「きゃああああああっ!!!かかか・・・一騎くん!?」
顔を真っ青にした遠見が血相を変えて飛んで来た。
それにしても・・・頬をほのかな朱色に染めた一騎が自分の胸の前で、
手を縦に円を書くように動かしていた・・・あの行為は・・・まさに・・・!
「っわーっ!!皆城くん此処で鼻血出さないで!!穢れる!!」
「ちょっと真矢!落ち着きなさいよ!!」
「一騎!ちょっと離れてて!今の総士には刺激が強すぎる!」
真矢の悲鳴で飛んで来た女子軍は、周りでぎゃあぎゃあと叫んでいる。
そんな中で、ふと冷静に叫ぶ自分が居た。
お前の気持ちは―一騎に弄ばれていると。
でも、僕達の絆には・・・切っても切れない絆がある。
それは、信頼と言う名の―相手に自分を解き放てる絆。
お前がどんなに僕を拒んでも、僕はずっと傍に居る。
ずっと離れないよ?一騎。
「汚い手段だと、分かっているよ」
―嘘をつくいて、相手を騙すこと。
脳裏に浮かぶ、幼い自分にそう言った。
「でもね・・・それがあいつを知る"きっかけ"になるなら―」
たとえ・・・自分が傷つく事だとしても、やらなきゃならない。
それが、無意味だと知っても。
『総士ってさ、不器用なんだ。
自分から気持ちを伝えられない、心を閉じた奴。
でも、お前なら心を開いてくれると思うんだ』
―先輩。俺は・・・総士の事が大好きです。
ずっと傍に痛いし、離れたくない。
だから、、俺・・・変わってみようと思います。
あの日。出て行く前に、誓った事。
不器用な自分を変えようとして―島を出た自分。
「総士・・・お前なら出来るさ。俺にだって、出来たんだから」
Fin.....
+後書+−−−−−−−+
何を書きたかった自分!!(死
また腹筋と関係ない事書いてないか・・・?(滝汗
本当にスイマセン・・・;;
また一段とキャラが壊れてしまった・・・と言うか。
総士はこれが素だと思う(待て
こんな総士も愛して下さい(ぇ
・・・密かに「アオゾラの海の下」の後日談な感じですが(笑
シリアスに終わらせようと思ったんですけどね・・・無理でした;
イベント後に書いたものなんで・・・色々な影響を受けている事が丸分かりですね;
・・・タイトルと内容が有ってない!!(おいコラ
もう気にしない方向でお願いします;