生と死。

それは新しい世界への旅立ち。



「一騎くん・・・お願い・・・目を開けて・・・っ」

なんだろう。凄く眠たい。
ファフナーに乗ってる時にブランクする時みたいな安心感がある。

遠見の声が段々・・・遠くになって行く。
段々、聴こえなくなって来た。

「諦めるな、一騎!総士くんはお前を信じてるんだろ!?」

父さんの怒鳴り声も・・・段々遠くなってく・・・。
俺・・・どうしたのかな。
さっきから、体がふわふわして・・・なにがなんだか・・・全然分からない。

「俺・・・総士と一緒に帰って来るから・・・」

・・・何言ってんだろ、俺。
駄目だ。全然分からない。

「だから・・・一度総士と同じ所に行って来る・・・」

―ああ、そうか。
今になって、やっと気付いた。

俺の体・・・同化現象の悪化で・・・結晶化してて・・・。
だから、総士みたいに・・・向こうの世界に行くんだ。

「“さよなら”じゃないよ・・・遠見・・・・」

遠見が握ってくれている手が、とっても暖かい。
でも・・・もう俺・・・駄目みたい。

怖いともなんとも思っていない。
ただあるのは―期待だけ。


生まれ変れる―期待だけ。




序章−よみがえり−





一騎が“居なくなって”から、10ヵ月経った、ある日の事。
遠見家に、道生の残していった大切な形見の子供が生まれた。

当時、それは30年目の自然受胎であり、道生と弓子は大変喜び、それを知り島中が喜びに包まれた。
その子供が産まれたとなると、やはり島中が祝福ムードとなるのだ。

「弓子・・・元気な女の子よ」

出産に立ち会った、弓子の母:千鶴は目に涙を溜めて、微笑む。
弓子も我が子を抱きかかえ、優しく微笑んだ。

「道生・・・おかえり・・・」

そう言って、ふと顔を見る。
・・・誰かに似てない?

「・・・どうしたの?お姉ちゃん」

弓子が無事に女の子を産んだと聴いて、廊下で待っていた弓子の妹:真矢が部屋に入ってくる。
不思議そうに訊いて来る真矢に、「ほら」と弓子は子供の顔を見せた。

「この子・・・もしかして―」

「―・・・・いや、女の子でしょ?」

「そうよ。だけど―彼と似すぎよ」

「道生さんと・・・一緒に帰ってきたの?」

「―違うわ。総士くんも一緒よ」

何処かに行っていた千鶴が2人の会話に入ってくる。
弓子と真矢は、顔を見合わせた。

「・・・じゃあ、本当に・・・一騎くんなの?」

「信じられない」とでも言うように、真矢は千鶴に問う。
千鶴はこくりと頷いた。

「えぇ。彼女は―一騎くんの“生まれ変り”よ」





再び廻り合う、ふたつの命。

ひとりは新しい“存在”として、ひとりは戻ってきた“存在”として。

彼女達は―竜宮島に帰って来た。





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