序章−初めから知っていた−





本当は、よく分からない。
自分がしている事も、どうして友達を傷つけるのかも。
ただ・・・悲しみでポッカリと開いた穴を、埋めるかのように。
僕は―戦っていたんだ。

「・・・好きだよ、ルルーシュ」
「やめろ・・・やめてくれ・・・っ!」

手を伸ばせば、すぐに君に触れられる距離に互いに居るのに。
・・・仮面の下の隠された表情を、僕は見る事が出来ないなんて。

「好きだなんて言うな・・・!言う前に、一思いに俺を殺してくれ!」

―本当は分かっていたよ。
キミが、ゼロだって言う事。
でも・・・僕は、キミの事だから・・・そういう風に、考えてただけなんだ。

「僕だって、本当は信じたくなかった。キミがゼロだって言う事」

取り乱しているルルーシュ。冷静にルルーシュを見つめる自分。
普段は感じないぐらい哀しいはずなのに、何故か安堵感が湧き上がって来る。

「でもね・・・泣かないで、ルル」

―ふと、懐かしい呼び名で呼ぶ僕の声に、ルルーシュはピタリと動きを止めた。

「僕を助けてくれたのは、キミなんだよ?」

こんなにも、生きている、と言うのは嬉しいものなのか。
安堵感が別の感情となり、涙が溢れた。

「どんな姿であっても、ルルはルルなんだ。・・・だから」

す、と僕はルルーシュの表情を隠している仮面に触れる。

「僕とは・・・本当のキミ自身で、戦って欲しいんだ」

ルルーシュは、一体どんな表情で僕を見ているんだろう。
そんな事を考えていると、ルルーシュの手が僕の手を取った。

「スザク・・・―」

あの時、お前にギアスを使った事は―後悔しているのかも知れない。

ルルーシュは、きっと・・・そう言おうとして止めたに違いない。
言葉が中途半端に途絶えてから数分が過ぎた頃には、僕もルルーシュも抱き締め合っていた。

「・・・ゼロの正体を知ったとしても、僕の行動は変わらない」

「ああ・・・分かっている」

「俺もそうだ」と言ったルルーシュの表情は―悲しみで歪んでいる。
傍らに置かれた仮面が邪魔だと、僕は思った。

「また―離れ離れになっちゃうね」

気持ちが、姿が、温もりが・・・全部、全部―。
そう呟いた時、この時間を全て壊すように―ランスロットに通信が入った電子音が聴こえる。
・・・離れたくないよ。僕はまだ、ルルーシュと話したい事があるのに。

「行けよ、スザク。お前を必要としている奴らが居るのだろう?」

ルルーシュが僕の身体を突き放す。
離れて行く温もりの存在が、愛しい存在へと変わった。

「―また、明日!」

仮面を付けるルルーシュの背中にそう言葉を投げ、僕はランスロットに乗り込む。

「すいません・・・この辺りにゼロが居るとは思ったんですが、居ませんでした」

通信機から聴こえてくる怒声にそう答えながら、僕はランスロットを起動させ基地に向かった。

ルルーシュが僕との関係を"修復"させるとは、きっと考えてはいないだろう。
僕も彼も―明日は無いかも知れないと、いつも自身を追い詰めているから。
でも・・・もう今までの関係には戻れない。

「キミには簡単なのかもしれないな・・・」

偽りの"キミ"を、作っていたのだから。





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